今日の内容はコーチング的な質問スキル【基本編】です。
コーチング以外にもカウンセリング、心理セラピーなどをやっている方にも使えます。
「何故この質問が効果的なのか?」を解説し、最後に質問集としてもまとめておきます。クライアントさんに、より良い気づきを得てほしいというあなたにご活用いただけたら嬉しいです。
僕はNLPを学んだ後にコーチングを習いました。そして身近な人にセッションをし始めて出てきた最初のハードルが「いい質問を投げかけられない」ということでした。
言葉に詰まってしまうこともありましたし、なんとなくセッションの形にはなったけど満足してもらえる時間を提供できなかったこともありました。
そんな時に上手い先輩コーチを見たり、実際にセッションをしてもらった時に「そんな切り口から質問をするのか!」とビックリすると同時に「自分はセンスがないんじゃないか…」と凹んだこともあります。
しかし、今になって断言できるのは「質問スキルはセンス・才能ではない」ということ。
- 全体像や原理原則を把握する
- 具体的な質問の引き出しを増やす
- すぐに反応できる脳にしていく
この3つで質問スキルは確実に伸びていきます。
これから基本編以外にも、フォーカス編、信念編などに記事を分けてお伝えしていきますので楽しみにしていてください。
Contents
コーチングセッションの全体像と原理原則
コーチングで何を質問していいか分からないのは全体像が見えないから
今になって僕の過去のセッションを振り返ると、目の前のことにいっぱいになって「何を質問しよう?」と焦ってうまくいかないことが多かったように思います。
目の前に出てきたクライアントさんの答えに対してだけをフォーカスしてしまい、視野が狭くなっていました。
そこから抜け出したのは『全体像』を頭で描くようになってからです。
全体像がなかった時は
クライアント「上手くいかなくて、もう気持ちが折れそうなんです」
原子(あぁ、気持ちが折れたら大変だ。どうしたら上手くいくんだろう?)
というように、解決に急いでいた感じでした。
相手の感情に共感しすぎて飲まれていたのもあります。
一方、全体像があると
クライアント「上手くいかなくて、もう気持ちが折れそうなんです」
原子(何をしたのかな?そこに上手くいく要素あるかな?そもそもの上手くいくって明確かな?目的を忘れていないかな?)
とパッと思い浮かぶので、一つひとつを明確にクリアにしていけばいいと思えます。
明確になっていくと同時に、クライアントの心の中も整理されていき「あっ!ポイントはここだったんだ!」という気づきが生まれてきます。
まずは基本編ということで全体像を図として、頭の中でイメージを描けるようにしてみてください。

コーチングセッションの全体の流れを図にしてみました
コーチングセッションは色々なアプローチがあります。
その中でも代表的なのは
- ゴール設定
- 現状把握
- ギャップ分析
- アクションプラン
- フォロー
こんな感じの流れで説明されることが多いのではないでしょうか?
始めは僕もこの流れを頭に叩き込んで行っていました。
しかし、セッションをやり続ける中で見えてきたのは、もう少し柔軟性があるようなイメージで捉えている方がいい。
そこで僕が作った全体像はこんなイメージです。

それでは、一つずつ見ていきましょう。
基本的には、まずは「未来」→「過去〜現在」→「現在〜未来」と進んでいくと捉えてください。
ゴール設定と目的意識
ゴールとは達成ポイントのことですね。
「どうなりたいのか?」そして「具体的にはどうなったら達成したと言えるのか?」ということを明確にしていく部分になります。
ゴールがないとどこに進んでいいのかが分からないので、全てのスタートはここになります。
たまに「こういうことが悩みなんです…」とだけ言う人がいます。
解決したいという含みがあるのは分かりますが「具体的にこうなりたい」という言葉にすることが第一歩。
ゴールが明確ではない場合はSMARTを使ったりして具体化する方法があります。(詳しいことについては抽象度編でお話ししたいと思います)
大切なのは『明確さ』。
人の脳は曖昧にしていたい性質がありますが、具体的な表現で明確にすることでパワーが生まれます。
そしてゴールよりも大切なのが目的だと僕は思っています。
目的は「◯◯のために」という言葉に変えてあげると分かりやすいです。
「ゴール達成によって何を手に入れたいのか?」「何のためにゴールに向かうのか?」ここが明確になることでモチベーション(動機づけ)になり、行動のエネルギーが湧いてきます。

これまでで手に入れたリソース
リソースとは資源。ゴール達成のために使える全てを指します。
お金・時間・人脈・モデル・知識・スキル・経験など、全てです。
過去から現在までで手に入れてきたリソースの中で「ゴール達成のために使えるものは何がありますか?」というのが基本的な質問となります。
「新しいことをやらないといけない」と思って、今までの成功パターンをないがしろにされることは少なくありません。
「新しい人と会わないといけない」と思って、今までの人脈に使えることが見落とされていることもあります。
便利な質問として「理想のゴール達成を100点とすると、現在は何点ですか?」という聞き方があります。
ここで「20点」と答えたとしたら、20点分のリソースはあるということです。
残りの80点は新しく手に入れていくリソースとも言えます。
新しいリソースは、過去から現在までに手に入れてきた既にあるリソースを活用することで100%手に入れることができる。
これはコーチングにおけるマインドセットとして是非覚えておくといいと思います。
新しい知識が必要なら「調べるためのスマホがある」「図書館に行けば本があると知っている」と、新しいリソースを手に入れるために、既にあるリソースが活用できます。
「スマホで調べるの苦手」だったとしたら「スマホで調べるのが得意な人」もしくは「得意な人を知っていそうな人」が周りにいるかもしれません。
ここを腑に落とすと、クライアントは100%ゴールを達成できる存在だと心から思えます。
その信頼がクライアントに伝わることで、クライアントからも信頼されるものだと思っています。
経験というリソース(振り返り)
これまでに経験してきたことは大切なリソースとなります。
上手くいったこと、成功パターンはもちろんのこと、失敗体験もリソースになります。
「これまでに何をしてきたのか?」「その中で上手くいったことは何か?」「改善した方が良いポイントはどこか?」など、過去の経験を振り返ることによって、ゴール達成に生かすものが見つかってきます。
ここは2回目以降のセッションでも大切な部分になります。
「前回決めたことについて行動してみてどんな変化がありましたか?」「上手くいかなかったのは何が原因だと思いますか?」などは継続セッションの場合は必須の部分ですね。
現状把握をするために「今はどんな感じですか?」という質問もありますが、僕は少し抽象的で答えにくいように思います。
なので「(ゴールに対して)具体的にどんなリソースがあるのか?」という質問が使える質問だと思っています。

これから手に入れるリソース
ゴール達成のためにはほとんどの場合、新しいリソースを手に入れる必要があります。
例えばビジネスで新規と会うことが少ないとしましょう。
新規と会うための方法を知る必要があるなら知識というリソースが新たに手に入れるものになります。
ブログで検索から来てもらうのであれば、ある程度のブログ記事量が必要になります。なので記事を増やすことが新たなリソースになりますね。
リアルで出会うなら例えば交流会に参加することが新しいリソースになるかもしれません。
「ゴールに向けて、いつまでにどのようなリソースを手に入れていくのか?」これが今後の行動計画の元になってきます。

課題・ブロック
ゴールや目的が分かった。ゴールに向けて生かすリソースも把握した。そして、これから何をアクションするかも見えてきた。
でも行動に対する心理的な抵抗が生まれることがあります。特に新しい行動だと、この心理的抵抗がブレーキとなってしまい「やろうと思っているのに動けない」となりかねません。
そこで何がメンタルブロックとなっているかを把握していく必要があります。
「行動することをイメージした時に心に抵抗や違和感はありませんか?」などと聞いて、あると言った場合には、そこを具体化していきます。
失敗が怖い、人の目が気になる、できるか自信がない、断られたら恥ずかしいなど、心のブレーキがかかっている状態で行動するのは大変です。
(ここについては長くなるので具体的な方法はカウンセリングスキル編でお伝えしていきます)
また、課題などもここで明確化する必要があります。
課題とはクリアすることでゴールに近づくもののことです。
例えば自分に自信がない場合は、自分に自信をつけることが課題のクリアになります。
(自信を手に入れる方法は、お金のメンタルブロックを外すの記事を参考にしてみてくださいね)
つい怠けてしまうなら、どのようにしたら取りかかれるかが課題になります。
「ここに課題があるんだ」と明確に把握できれば、その課題クリアのために何を行動すればいいかが見えてきます。
「既に上手くいっている人はどんな人がいますか?」とモデル(参考となる人)を聞くのも一つです。
モデリングの対象が分からないなら、新たに手に入れたいリソースです。
「モデルを見つけるためにできることは何がありますか?」という質問も有効ですね。

「何故その質問なのか?」と全体像を理解しておく
ここまで書いてきた内容は、基本的には
- ゴール
- 目的
- 既にあるリソース
- 行動計画(新リソース)
- 課題・ブロック
という風に進めていただくとやりやすいとは思います。
しかし順番通りにやるというよりは、全体像を意識して明確になっていない部分を質問するというイメージが柔軟な対応ができるはずです。
そして何故この部分に質問を当てていくことが有効なのか、その理由についても書いてきました。
以下に質問集も載せておきますが質問の仕方よりも、なぜ質問するのか(原理原則)をしっかりと理解しておく方が後々セッションの幅が広がっていきますよ!
コーチングに効果的な質問集

1.ゴール
「何を目指しますか?」
「どうなったら達成したと言えますか?」
「達成をすると何がどれくらいどうなりますか?」
2.目的
「そのゴールが手に入ったら何が得られますか?」
「それを手に入れたい理由は何ですか?」
※出てきた答えに対して同じ質問を繰り返すことで目的が深まります
3.既にあるリソース
「その中で上手くいったことは何ですか?」
「改善した方が良いポイントはどこだと思いますか?」
「ゴール達成のために使えるもの(人脈、お金など)は何がありますか?」
「理想を100点としたら現在は何点ですか? 」
4.行動計画(新リソース)
「今より何があればゴール達成に近づきますか?」
「いつ、どこで、誰と、どのようにやりますか?」
「いつまでに何をどれくらいまで行いますか?」
「今すぐできることは何ですか?」
5.課題・ブロック
「何が制限している(ブレーキになっている)と思いますか?」
「やめた方がいいのにやってしまうことは何ですか?」
「やった方がいいのにできていないことは何ですか?」
「上手くいっている人はどんな人ですか?」
「上手くいっている人との違いはどこだと思いますか?」
あまり数が多くなっても使いにくいかと思ったので、使いやすいものを整理してまとめてみました。
もちろん場面によっては、まだまだ切り口があります。
細かいことを覚えるよりも、まずは全体像と原理原則を覚えていくといいと思います。
そうすると細かいことを有効に使えるようになるので。
また上級編のアプローチとして別の角度の質問をいくつか考えていますので、そちらも記事更新した際には参考にしていただけたら嬉しいです。
最後までありがとうございます。
コメント